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生き続ける理由

絶望の理由最初のぎこちなさがうすれると、わたしは、Yといっしょにいる時間を、こころまちするようになっていました。これは、わたしにとって思いがけないことでした。かなり幼いころからわたしは人づきあいが苦手で、ひとりでいるときが、いちばんホッとす...
出合い

花四季

翌年の春…。Yとわたしは、ときどき待ち合わせてお茶や食事をするようになっていました。待ちあわせるのは、たいていは「花四季」という喫茶店でした。花四季は、水道橋と神保町の大通りから小道をはいった裏通りにありました。浪速書房の社員は、たいてい仕...
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出逢い

もう、半世紀以上もむかしのはなしです。わたしは22歳でした。昭和44年の11月初旬。水道橋駅から歩いて数分ほどの雑居ビルにあった小さな出版社浪速書房のドアが開き、廊下から、初冬にしてはやけに冷たい風がサッと流れ込みました。風は、ドアの右手奥...
出合い

舟出(ふなで)

後期高齢者になって、わが人生行路も、直線の先に、ゴールが見えかくれするようになった。ごく若いころ、生き続けられるなら、財を成し、弱い人、困っている人を助ける人物になりたいなあとねがった志は、ついに果たせず。老いて、財布は軽く、おのれの頭の上...