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生き続ける理由

絶望の理由最初のぎこちなさがうすれると、わたしは、Yといっしょにいる時間を、こころまちするようになっていました。これは、わたしにとって思いがけないことでした。ものごころついた頃から、わたしは人づきあいが苦手で、ひとりでいるときが、いちばんホ...
出合い

花四季

翌年の春…。Yとわたしは、ときどき待ち合わせてお茶や食事をするようになっていました。待ちあわせるのは、たいていは「花四季」という喫茶店でした。花四季は、水道橋と神保町の大通りから小道をはいった裏通りにありました。浪速書房の社員は、たいてい仕...
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出逢い

もう半世紀もむかし。生きつづける理由を見失っていたわたしは、それまで周囲で見かけたことのない、ひとりの男と出逢ったのでした。
出合い

舟出(ふなで)

後期高齢者になって、わが人生行路も、直線の先に、ゴールが見えかくれするようになった。ごく若いころ、生き続けられるなら、財を成し、弱い人、困っている人を助ける人物になりたいなあとねがった志は、ついに果たせず。老いて、財布は軽く、おのれの頭の上...